英文豪の初版本：R.L.Stevenson: Virginibus Puerisque  「青年男女の為に」1881年、ロンドンC.Kegan Paul & Co.刊。8vo. Hardcover, 197mm×184mm（含表紙）[ 本文296頁＋巻末出版社出版目録32頁]  橙色のクロース装、表紙三方縁面取り、spine(背)の書名は金箔押し、表と裏の見返しは黒色に近い濃紺のcoated paper。 本書は初版である。初版は発行出版社名が spineの下段とTitle pageの下段にC. Kegan Paul & Co.と表記されているので区別できる。後の版（重刷）では発行所名が“Kegan Paul , Trench &Co.”と変わり、更に後の版では発行出版社名がChatto & Windus社に変わっている（同社がKegan Paul社を買収したため）。書名のVirginibus Puerisqueとはラテン語で「若き男女の為に」の意である。 小説「宝島」、「ジーキル博士とハイド氏」、「新アラビア夜話」、或いは童謡集「子供の詩の園」で有名な英国の文豪R.L.Stevensonによる恋愛・結婚・青春などについて論じたエッセイ集（書物の形で発行された著者の最初のエッセイ集）である。本書には全部で12篇のエッセイを収めるが、恋愛・結婚・青春などについて論じた一篇「若き人々のために」以外にも「ひねくれた老年と青春」、「怠け者の弁」、「南国転地」、「鉄石のこころ（死について）」、「黄金郷」、「イギリスの提督」、「レーバーンの肖像画」、「子供の遊戯」、「徒歩旅行」、「牧神の笛」、「ガス燈の弁」の11篇の好エッセイを収める。 spine(背) に経年のヤケによる褪色が見られるが、本の状態は良好。（表紙が orange clothのためどうしてもヤケのための褪色が出易い。現存初版本は大抵褪色が出ているようだ。）Half-Title上部余白に献呈の辞と同日付（August 29th,1881）のペン書き記入がある。 天下の名文として広く愛読されているR.L.Stevenson のVirginibus Puerisqueの貴重な初版本です。（本書の初版は売れ行きが良くなく、1884年まではFirst&Second binding併せ900部しか売れなかった由。しかしその後じわじわ売れ行きが伸びた由）。R.L.Stevenson 愛好家、研究者、初版本コレクターには見逃せない一冊。 本書はその後も廉価版や最近では電子版も発行され、現在に至るも読み継がれているが、発行当時の元版の雰囲気を味わいながら読みたい人にはお勧めの一冊である。